逸話よりも証拠を

原典と出典の方針

当サイトを構成する原典、それを確認するために用いた所蔵機関の記録、そして一節が記事になるときに守る規則。

中心となる原典

戦国

『信長公記』、『甲陽軍鑑』、『雑兵物語』、および『川角太閤記』『天正記』『大かうさまくんきのうち』に代表される豊臣秀吉関連の資料群。

忍術

『万川集海』(萬川集海)、『正忍記』、『忍秘伝』、および藤田西湖に関わる忍術についての記述。

剣術

宮本武蔵『五輪書』、柳生宗矩『兵法家伝書』。

兵法

武経七書——『六韜』、『三略』、『司馬法』、『孫子』、『呉子』、『尉繚子』、『李衛公問対』。北宋の神宗の時代に武学の正典として定められた七書です。

底本として用いている版

記事では、原典の特定の版や写本を用いています。同じ書名でも版によって本文や巻立てが異なるため、どの版に拠ったかを各記事の末尾に記します。現在までに用いた主な底本は次のとおりです。

戦国

『信長公記』——甫喜山景雄刊『我自刊我書』(一八八一年)。国立国会図書館デジタルコレクションの所蔵画像で本文を確認しています。伝本の背景については、岡山大学附属図書館・池田家文庫が太田牛一自筆本として記録する巻を参照しました。

『甲陽軍鑑』——温故堂刊(明治二十五・二十六年)。翻刻と、その底本にあたる国立国会図書館デジタルコレクションの画像を突き合わせています。版の系統については国文学研究資料館・CODHの書誌(明暦二年京都刊、二十三冊・二十巻)も参照しました。

『雑兵物語』——九州大学附属図書館所蔵の弘化三年(一八四六)刊本(松平信興、藤原春日行則校訂、上下二巻二冊)。参考として京都大学附属図書館所蔵の二冊本写本(請求記号 8-21/ソ/1)を校合に用いています。著者表示や書写注記は各館の資料目録に拠ります。

忍術

『万川集海』——伊賀市デジタルミュージアム(ADEAC)所蔵の翻刻と原本画像。書物の同定は国立公文書館デジタルアーカイブの記録(藤林保武著、二十二巻および軍用秘記一巻)に拠り、目録上の位置は伊賀流忍者博物館のデータベースと照合しています。

『正忍記』——国立国会図書館所蔵の寛保三年(一七四三)写本(DOI 10.11501/12865777)。成立年代や伝本の状況は、同館の解説記事も参照しました。

『忍秘伝』——伊賀市ADEAC所蔵写本。伝本の年代・構成・伝承記載は同館の資料目録に拠ります。

剣術

『五輪書』——教材社『五輪の書 原本』(一九三九年、DOI 10.11501/1071527)。国立国会図書館デジタルコレクションの所蔵画像を用い、節単位の翻刻とWikimedia Commonsのスキャンを校合に使っています。

『兵法家伝書』——福井久蔵編『秘籍大名文庫 第二』(厚生閣、一九三七年、DOI 10.11501/1074542)。書誌はCiNii Booksで確認しました。

兵法

武経七書——本文は活字テキストで確認したうえで、和刻本の版面を併せて参照しています。和刻本は汪桓訂正『標題武経七書全文』巻一〜七(大坂・文金堂、弘化三年)(早稲田大学図書館蔵、請求記号イ13 00931)を用います。『六韜』については閑室元佶校『六韜』巻第一〜六(森本文金堂、安政二年)、注釈の参照には施子美撰『施氏七書講義』巻第一〜四十二(文久三年)も用いています。各記事の末尾には、その記事で用いた巻と篇を記します。

参照した所蔵機関

本文の確認には、次の機関が所蔵・公開する記録および画像を用いています。

  • 国立公文書館デジタルアーカイブ——『万川集海』の著者・巻数の同定
  • 国立国会図書館デジタルコレクションおよび国立国会図書館サーチ——底本の画像、書誌、永続的識別子
  • 伊賀市デジタルミュージアム(ADEAC)——『万川集海』『忍秘伝』の所蔵本・資料目録
  • 伊賀流忍者博物館——忍術書の目録データベース
  • 岡山大学附属図書館・池田家文庫——『信長公記』伝本の背景
  • 九州大学附属図書館——『雑兵物語』弘化三年刊本
  • 京都大学附属図書館——『雑兵物語』写本と資料目録
  • 国文学研究資料館・CODH——『甲陽軍鑑』の版の系統
  • 早稲田大学古典籍総合データベース——武経七書の和刻本
  • CiNii Books——刊行事項の確認
  • Wikimedia Commons——パブリックドメイン資料のスキャン

各記事の末尾には、その記事で実際に参照した資料へのリンクを個別に掲げています。ここに挙げたのは全体の一覧であり、記事ごとの根拠はそれぞれの出典欄をご確認ください。

資料が食い違うとき

写本や刊本によって、巻立てや節の位置が一致しないことがあります。そうした場合、どれか一つを唯一の正本として扱うのではなく、差があること自体を記します。

たとえば『万川集海』の「正心」について、伊賀市デジタルミュージアムの所蔵本は「巻之一 正心一」としていますが、伊賀流忍者博物館の目録は正心を巻第二・第三に置いています。該当記事では、この違いを隠さず、節名と参照した伝本を併記しました。

版によって頁や巻が変わる以上、「原典にはこう書かれている」という言い方は、厳密には「この版のこの箇所にはこう書かれている」という意味です。当サイトでは、その区別を明示するよう努めています。

引用と出典の方針

各記事は、書名と、巻・章・節・条などの位置を特定できる区分を示します。原文の短い引用は、当サイトが新しく書き起こした訳文とは別に掲げます。解説では、一節の記述そのものと、文脈からの推論とを区別します。

写本や刊本によって巻や章の番号が異なる場合は、どれか一つの体系を断りなく採用することはせず、拠った資料を明示します。原文の抜粋量は内部の管理表で累計を記録し、一つの原典について推定八パーセントに達した時点で、その原典からの新規抜粋を止めます。

リンクを張る資料、張らない資料

出典は必ず書きます。ただし、その資料がどれだけ手に入りやすいかは書きません。閲覧の難易は資料の性質ではなく、記事の主題でもないからです。

  • くずし字の写本・版本の画像(和刻本を含む)——リンクします
  • 書誌・目録(国立国会図書館サーチ、CiNii、CODH、大学図書館の目録)——リンクします
  • 活字の翻刻・活字テキスト——リンクしません。版名のみを記します
  • 解説記事——リンクします

活字テキストにリンクしないのは、翻刻が原本そのものではないからです。版によって読みが分かれる箇所では、どの活字本に拠ったかを版名で示すほうが、リンク一つより正確に伝わります。

画像

図版を掲載する場合は、パブリックドメインであることが確認できるもの、または再利用が認められた条件で公開されているものに限ります。すべての図版に、出典と権利表示のキャプションを添えます。