合戦・武将・そして雑兵

戦国

誰が何をしたかを語る前に、それを書き残した記録があります。同時代に近い記述は、後世の物語とどこで食い違うのでしょうか。

戦国の合戦について、私たちは驚くほど多くの「知っていること」を持っています。その大半は、どの記録に由来するのでしょうか。

桶狭間の奇襲、長篠の三段撃ち、本能寺の光秀の言葉。広く知られた場面の多くは、原典に対応する記述があるもの、後世の編纂で膨らんだもの、そしてほとんど根拠が見えないものが混在しています。このカテゴリは、その区別を一節ずつ確かめていきます。

記録の性格も一つではありません。『信長公記』は信長に仕えた人物による記述として、同時代に近い位置にあります。『甲陽軍鑑』は成立事情に議論があり、史料としての扱いに注意が必要です。『雑兵物語』は武将ではなく、名の残らない兵の側から戦場の実務を語ります。同じ「戦国」を扱っても、それぞれの書物が答えられる問いは違います。

何を証拠として扱うか

このサイトが記事で行うのは、原典に書かれていることと、そこから導いた推論を分けて示すことです。史料に記載がない逸話を事実として書きません。通説に触れる場合は、「そう語られてきたが、原典には該当する記述がない」という形で明示します。

数値や年号についても同様です。合戦の動員数のように、記録間で大きく食い違う数字は、どの記録がどう述べているかを示すにとどめます。一つの数字を選んで断定することはしません。

武将の物語ではなく、記録の物語として

戦国は人物の魅力で語られやすい時代です。しかし記録を読む作業は、しばしば人物像を単純にするのではなく複雑にします。ある行為が残酷に見えるかどうかは、記述の文脈と、その記録が誰に向けて書かれたかに左右されます。このカテゴリは、英雄譚も暴君譚も採らず、まず本文が何を述べているかに戻ります。

原典シリーズ

戦国の原典

原典ごとに、選ばれた一節の読解を積み上げます。

同時代に近い記録

信長公記

合戦、上洛、政策、そして最期。太田牛一の記述が何をどう書いているかを一節ずつ読みます。

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  1. 信長は髑髏杯で酒を飲んだのか——『信長公記』の薄濃信長公記 · 09
  2. 騎馬武者には馬から撃つ——鉄砲足軽の距離と役割雑兵物語 · 02
  3. 相撲に勝って御家人へ——『信長公記』常楽寺の抜擢信長公記 · 08
  4. 安土城は何重か——石蔵を一重と数える『信長公記』信長公記 · 07
  5. 信長は天主完成前に安土へ移った——『信長公記』巻九信長公記 · 06
  6. 『信長公記』の三間道——信長はなぜ道幅を定めたか信長公記 · 05
  7. 『信長公記』とは——太田牛一と全十六巻の構成原典ガイド
  8. 『信長公記』の比叡山焼き討ち——「灰燼の地」と記された四行信長公記 · 04
  9. 長篠の三段撃ちは『信長公記』にあるか——原文四行を読む信長公記 · 03
  10. 本能寺の「是非に及ばず」とは——『信長公記』の三行を読む信長公記 · 02
  11. 桶狭間は「奇襲」だったのか——『信長公記』の雨と突撃信長公記 · 01

武田家の軍記

甲陽軍鑑

武田の軍法と家臣統率。史料としての性格に注意しながら、記述そのものを読みます。

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  1. 軍法の根は「よき法度」にある——『甲陽軍鑑』品第四十一甲陽軍鑑 · 04
  2. 「人は城」は信玄の言葉か——『甲陽軍鑑』の伝え方を読む甲陽軍鑑 · 03
  3. 『甲陽軍鑑』の「本の合戦」とは——大合戦を選ぶ条件甲陽軍鑑 · 02
  4. 「風林火山」の旗は何色だったか——『甲陽軍鑑』を読む甲陽軍鑑 · 01

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